カナダの保育園

カナダのある保育園の一日のスケジュール【1~2歳児さん】

カナダの保育士
質 問
質 問
カナダの保育園では、子ども達はどんなふうに一日を過ごしていますか?

今回は、私がいま担任保育士として受け持っている1~2歳児さんクラスが「保育園でどんな一日を過ごしているか」について、朝の登園から夕方の降園までの実際のスケジュールを紹介しながらお話していきたいと思います。

ここでシェアしていることは、あくまで”私の経験”です。文章を書く便宜上、「カナダの保育園では~」「カナダの保育士さんは~」と表現していますが、カナダでも、州によってそれぞれ保育園や保育士にまつわる制度も違うし、同じ州の中でもそれぞれの保育園に個性があります。なので「カナダではこんな保育園や保育士さんもいるんだな」ということがシェアできれば幸いです!

1. 私が担任しているクラスについて

保育士3人で、3歳未満の子ども達12人を保育しています。

私が勤める保育園には3歳児未満クラスが2つあるのですが、私たちのクラスでは1歳~2歳児さんを中心に、もう一つのクラスでは2歳児さんを中心に保育をしています。

私のクラスには、今現在15人の子どもが在籍しています。

私
  とはいっても、月~金まで毎日登園する”フルタイム”の子と、週に1~4回だけ登園する”パートタイムの子がいるので、毎日15人全員が登園してくるわけではありません。

毎日最大で12人の子ども達が登園してきて、私を含めた3人の先生が担任として子どもたちの保育をしています。

2. 一日のスケジュール

7:45~8:15 開園、合同保育

私の勤めている保育園は、朝7:45に開園します。
土日祝日はお休みです。

開園してから30分ほどはまだ登園してくる子ども達が少ないので、この時間に登園してきた子ども達はいったん乳幼児さんクラスに集まり、合同保育をします。

私
私の保育園では、乳幼児クラスが二つ、プリスクールと呼ばれる3歳~5歳児さんクラスが二つあります。

3歳~5歳児さんのお部屋には、レゴブロックなど乳幼児さんが口に入れてしまうと危険な小さなおもちゃもあります。

なので、朝の合同保育は一番年齢の低い乳幼児さんクラスで行っています。

8:15~9:00 それぞれのクラスに移動して、その日の保育スタート

8:15ごろになると、子ども達は担任保育士と共にそれぞれのクラスに移動します。

ここから各クラスで一日の保育がスタート!

私のクラスでは、絵本を読んだり、ブロックで遊んだり、音楽に合わせて踊ったりと、子ども達はそれぞれ自由にお部屋の中で遊びます。

また、この時間帯に多くの子ども達が登園してくるので、お部屋で自由遊びをしている子ども達を保育しつつ、登園してくる子ども達を保護者から受け取ったり、保護者と離れるのがさみしくて悲しい気持ちになっている子をケアします。

私のクラスは3人で担任を受け持っていますが、現在は、それぞれシフト開始の時間が8:15~/8:45~/9:00~なので、9時になるとやっと担任保育士が全員クラスに揃います。

担任保育士がそろうまでの朝の時間帯は、サポートの保育士さんがクラスに入ってくれます。

9:00~9:15 クラフト・アートの時間

担任保育士が揃ったら、いろいろな材料をセッティングして、クラフトやアートの時間です。

私は1~2歳児さんクラスなので、やることはたいていとってもシンプル。

並べた机いっぱいに紙をしいて筆で自由にペイントしたり、紙皿にマーカーでお絵かきしたり、手に絵具をぬって手形のスタンプを楽しんだり…。
全員が一緒に行う時もあれば、数人ずつ順番に行うこともあります。

日本の保育園との違いを感じるのは、あくまでもアートの時間も自由参加だということ。

「アートの時間だよ。一緒にやってみない?」と子ども達全員に声はかけますが、例えば一生懸命絵本を読んでいたり、ブロックで何か作っている最中でアートよりも自分が今やっている遊びに夢中になっている子は、そのままその遊びを楽しみます。

子ども達は「アートに参加しなさい」と強制されることはないし、保育士としても「子ども達全員を参加させなきゃいけない」というプレッシャーがないので、とてもいいなと思います。

9:15~10:10 おやつタイム、おむつ替え、自由遊び

おやつタイム

アートを楽しんだ子も、自分の遊びを楽しんだ子も、いったんクラスのお片付けをして手を洗います。

しっかり座れる子は椅子に、サポートが必要な子はハイチェアという子ども椅子に座っておやつを食べます。

私が勤める保育園では、午前と午後のおやつは保育園が、ランチはそれぞれの家庭がじゅんびするので、朝のおやつは保育園で用意したものをみんなで一緒に楽しみます。

おむつ替え、自由遊び

おやつを食べ終わったこから順番に、一回目のおむつ替えの時間です。

ただ、おやつを食べるスピードは子どもによって違うので、10分くらいでササっと食べ終えてしまう子もいるし、ゆっくり30分くらいかけて食べる子もいます。

なのでおやつを食べた子から順番におむつを替えていき、まだおやつを食べている子がいる間、他の子はお部屋で自由遊びをします。

10:10~10:30 サークルタイム(朝の会)

子ども達のペースがあるので、おやつやおむつ替えが終わる時間は毎日バラバラではありますが、たいてい10:10頃には全員のおやつやおむつ替えが終わります。

そうしたらお部屋の片づけをして、みんなでサークルタイム。手遊びや絵本を楽しみます。

私
ただ、1~2歳児さんなので、ずっと座って歌を歌ったりお話を聞いたりするのがまだまだ難しいんですよね。

なので、私のクラスでは、一人一人の名前を呼んでおはようのあいさつをする”Good Morning Song”始めに全員で歌ってから、保育士一人が子ども達4人をつれてお外遊びの支度をして、園庭であるプレイグラウンドへ向かいます。

最初の4人がプレイグラウンドへ行ったらまた次の4人、そして最後の4人と、順番に時間を分けることで、早くお外に行きたい子はずっとサークルタイムで座らされることもないし、逆に手遊びや絵本が好きな子は、お部屋に残って最後までサークルタイムを楽しみます。

10:30~11:30 外遊び

最期までサークルタイムを楽しんだ子も、10:30ごろまでにはプレイグランドに出て、お外遊びを楽しみます。

私の保育園ではInfant and Toddlerクラスが二つあるのですが、この時間はどちらのクラスもお外遊びなので、プレイグランドで合同となり、一緒に遊びます。

お外でたくさん遊んだあと、11:15ごろになると、初めにプレイグランドにでてきた子ども達4人はお部屋に帰ります。

そのあとさらに4人、最後にまた4人と順番にお部屋に帰り、ランチの用意をします。

11:30~12:20 ランチタイム、おむつ替え、自由遊び

ランチタイム

順番にお部屋に戻り、帽子やジャケットなどを脱いだら手を洗います。

準備ができた子からランチタイム。最後のグループの子たちも11:30ごろにはランチを食べ始めます。

私の勤める保育園では、ランチはそれぞれ用意してもらっているので、子ども達は家庭から持ってきたランチを食べます。

おむつ替え、自由遊び

おやつ同様、ランチを食べ終わったか子からおむつを替えていきます。

おむつを替えてもらったら、他の子たちがランチを食べ終えるまで、お部屋で自由遊びをします。

12:20~12:30 ストーリータイム(絵本の読み聞かせ)

12:20ごろには全員のランチとおむつ替えが終わっているので、お部屋の片づけをしてからストーリータイム。

ストーリータイムではみんなで集まって座り、2~3冊ほど絵本の読み聞かせをします。

読み聞かせの後は、小さな声でゆったりと「Twinkle Twinkle Little Star(きらきら星)」を歌って、クラスを午睡の雰囲気に持っていきます。

今まで私が勤めてきたカナダの保育園では、1~2歳さんなど乳児クラスでお昼寝前に絵本を読む時間を設定していたり、そもそもストーリータイムという時間を保育の中に取り入れている保育園はとても少なかったです。

しかし、いま一緒に担任をしている保育士さんと「みんなで絵本を読む時間があったらいいよね」「自由遊びと午睡の間に、子ども達の体と心を落ち着かせる時間があるといいよね」という話になり、午睡の前にストーリータイムを行っています。

12:30~15:00 午睡

「Twinkle Twinkle Little Star」を歌い終えると、子ども達も午睡の時間だということを分かっているので、それぞれのベットに向かいます。

私のクラスでは、Cribという周りが囲まれているタイプの赤ちゃんベットで午睡をする子と、Cotと呼ばれる床に置くタイプのベットで午睡をする子がいます。

それぞれベットに寝転がったら、お部屋の電気を消して午睡。

私
私たち保育士は、身体をさすったり頭をなでたりしながら、子どもたちを寝かしつけしていきます。

15:00~15:45 おやつタイム、おむつ替え、自由遊び

早い子だと14:00を過ぎたあたりからだんだんと子ども達が起床するので、起きた子から静かにお部屋の中で自由遊び。

ずっと寝ている子もいますが、15:00にはお部屋を明るくして子ども達の目覚めを促します。

みんな起床したらお部屋のお片付けをして手を洗い、おやつを食べます。

午前と同様、私の勤務する保育園では午後のおやつも園で用意するので、園で用意したおやつをみんなで一緒に楽しみます。

午後も、おやつを食べ終わった子から順番におむつ替えをしていきます。

早い子だと15:30ごろからお迎えに来る家庭もあります。

15:45 グッバイソング(帰りの会)

全員のおむつ替えが終わったら、まずはお部屋をかたづけます。

その後、午前のサークルタイムと同じようにみんなで集まってすわり、”Good Bye Song”をうたいます。

私
徐々にお迎えが始まるので、この時間帯からだんだんとバタバタし始めます

日本の保育園でいうと「帰りの会」に当てはまるかもしれませんが、私のクラスでは「今日は保育園もうすぐ終わりだよ~」ということが子ども達伝わるよう、いつもこの時間に歌っているさよならを歌をうたうくらい。

とてもシンプルなので、「帰りの会」と呼ぶほどでもないくらいかもしれません。

歌をうたったあとは午前同様、順番に外遊びの準備をしてからプレイグラウンドに向かいます。

16:00~17:15 外遊び、降園

116時ごろまでにはどの子もプレイグランドに出てお外遊び。
保護者が迎えに来たら、今日の保育園での様子をお伝えします。

春や夏は日が沈むのが遅いのでので、降園するまで子ども達はお外でたっぷり遊びます。

しかし、秋の終わりごろから冬の季節になると、日が沈むのがとても早く、4時の時点でも薄暗い時があるんですよね。

これはカナダといってもそれぞれの地域や保育園によると思いますが、私が勤めている保育園では、冬の時期なると16時ごろから外は薄暗くなり始め、外灯をつけたとしてもプレイグランドはどうしても暗くなり、子ども達が安全に外遊びをするために十分な明るさではありません。

なので、冬の時期は早めにクラスに戻ったり、雨や雪が降っていて16時の時点でもう外が暗い時は、お部屋の中で自由遊びをしながら保護者のお迎えを待ちます。

 

3. 閉園時間に間に合わないと、延長料が発生します

私が勤めている保育園では17:15に保育園が閉まります。延長保育などはありません。

なので、一番遅い保護者さんでも17:10にはお迎えにきて、クラスに戻ってランチボックスや汚れた服などを取りに行き、17:15には私たち保育士が保育園を閉めて退勤できるように、すこし余裕をもってお迎えに来てくれます。

私
たまに、どうしても仕事が押してしまったり、道が混んでいたりして、保護者さんが17:15までにお迎えに来ることができないときがあります。

お迎えの時間が17:15を過ぎてしまった場合、「ペナルティー」として遅れた分だけ延長料が発生します。

1分5ドルなど分刻みで延長料が発生する場合や、15分ごとに10ドルなど、延長料がいくらかは保育園によって変わります。

延長料は、その子どものために残っていた保育士さんに還元されるのが一般的です。

まとめ

今回は私が勤めているカナダの保育園で、1~2歳児さんがどうやって一日を過ごしているのかをお伝えしました。

今受け持っている子ども達には現在このスケジュールが合っていますが、子ども達が変わってこのスケジュールが上手くいかなくなったら、一緒に担任をしている保育士さんと相談してその都度変えていきます。

また、個人的には、クラフトとアートのが15分だけでは短い気がするので、「スケジュールを工夫してもっとアートやクラフトをする時間が増やせないかな~」と思っています。

なので私のクラスのスケジュールはこれからも子ども達に合わせて変わっていくと思うのですが、今回はいま現在のスケジュールについてお話ししました。