今回は、カナダの保育園の工作の時間についてお話していきたいと思います。
ここでシェアしていることは、あくまで”私の経験”です。文章を書く便宜上、「カナダの保育園では~」「カナダの保育士さんは~」と表現していますが、カナダでも、州によってそれぞれ保育園や保育士にまつわる制度も違うし、同じ州の中でもそれぞれの保育園に個性があります。なので「カナダではこんな保育園や保育士さんもいるんだな」ということがシェアできれば幸いです!
1. 日本で保育士をしていた時、毎月の工作がプレッシャーでした…。
日本の保育園では、子ども達が作った作品を教室の壁面に飾るのが一般的ですよね。
私が日本で保育士として働いていた時、毎月壁面に飾る工作の計画と準備が担任保育士としての大きな仕事の一つでした。
というのも、教室の壁面に飾るこの工作は教室全体の雰囲気を左右するだけでなく、送り迎えの際に保護者さんの目に入るもの。
クラスの子どもたちの発達段階に合った工作を考えなければならないのはもちろんなのですか、「自分のクラスに手先の器用な子が多いから」と少しひねりを加えた工作をすると、ひとつ上の学年の子ども達の工作よりも発達的にうわまってしまう可能性も。
さらに、出来上がりに極端な差があると「保護者さんが自分の子どもと他の子どもを比較してしまわないかな…」と心配でした。
幸い、経験豊富な先輩保育士さんと一緒に組んでいたのと、職員室に保育雑誌がたくさん置いてあったので、毎回なんとか工作の計画や準備をすることができました。
…私が日本で保育士として働けたのは、まわりの先輩保育士さんとPriPriのおかげです!
2. カナダでは”やりたい子だけ”が工作に参加する
カナダで保育士として働き始めて知ったのが、カナダで工作の時間は全員が強制参加ではなく、やりたい子だけが参加するというということ。
私がこれまで働いてきたカナダの保育園では、
工作の時間になると絵具や筆・のりや画用紙などが机に出され、やりたい子だけがその机に集まり、自由に工作する
…というところが多かったです。
なので、子ども達全員が工作に絶対参加しなければいけないというわけではありません。
例えばクラスの一角で工作が始まっても、絵本やブロックに夢中な子がいれば、その子たちは今やっている遊びを続行してOK。
例えば以前、のりや粘土などのねっとりとした感覚が苦手な子がクラスにいました。
その子は工作自体には興味があっても、他の子が工作の時間にのりを使っているの見ただけで机から遠ざかってしまうくらい。
そこで、その子やほかの保育士さんとも案を出し合って、無理にのりを使わせるのではなく、その子が楽しめるような工作の材料を一緒に選んだり、どうしてもその子本人がのりで何かをくっつけたいときは友達に助けてもらったりするといった工夫をしました。
こうやって一人一人にあわせた保育環境を作っていけたのはとても良かったなと思います。
3. 出来上がりもバラバラ!カナダの子どもたちは工作で”自己表現”
私がカナダで見てきた保育園では、“Open-Ended”というアイディアを取り入れた工作をしていた保育園がたくさんありました。
“Open-Ended”とは、意訳すると「完成形や終わりが決まっていないこと」。子ども達が主体となって自由に工作を進めていきます。
あらかじめ保育士が決めたものを作るのではなく、作ることそのものを自由に楽しんだり、いろいろな材料を触ってその感覚を楽しんだりすることが目的とされています。
なので、同じ年齢の子どもたちが同じ工作の材料を使っても出来上がりはバラバラ。でも、それこそが個性だと尊重されています。
4. カナダでも、保育士主導の工作だってする!
カナダの保育園で働き始めて、先ほどお話ししたような「子ども主体の工作」があるというのを知ったと同時に、カナダでも「保育士主導の工作」がたくさん行われているということも知りました。
私が日本で保育士をしていたとき、「今日はウサギを作りましょう」「目のシールをこの部分に張りましょう」など、保育士主導の工作をすることがとても多かったです。
それに比べ、海外やカナダの保育園情報をネットで調べてみると、先ほどお話ししたように子ども達が自由に工作する様子が紹介されていることが多いなと思います。
けど実際、カナダの保育園でも保育士主導の工作がたくさん行われているんですよね。
てっきりカナダの保育園では保育士主導の工作なんてやらないと思っていたので、「カナダでも保育士主導の工作はある!」ということも実際に働き始めて知ったことの一つです。
まとめ
今回はカナダの保育園の工作の様子についてお話しました。
海外やカナダの保育園についてネットで調べていると、やはり日本の保育園との「違い」にフォーカスすることが多いと思います。今回ご紹介した「やりたい子だけが参加する」「自由に工作を楽しむ」も、私が感じた日本の保育園との違いですね。
けど実際働いてみると、「保育士主導の工作だってする」というように、日本の保育園との共通点もたくさんあることに気付きました。
「保育日誌 IN CANADA」では、こういった共通点などもあわせて発信していけたらいいなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!